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年間10万4千件。1日あたり285件。 これは2005年度に起きたバイク盗難の被害届出件数です。ここ数年、件数は減少しているものの、愛車のバイクを盗まれたライダー達のショックははかりしれません。しかし、問題は被害者の悲しみだけではありません。盗まれたバイクが引ったくりなどに使用され、二次被害をもたらすこともあるのです。自分のためだけなく、二次犯罪を防ぐためにも、ライダーは盗難対策をしっかり行ってください。 今回のバイク入門基礎知識特別講義では、バイク盗難に詳しいタレントの近藤スパ太郎さんが実体験を交えてアドバイスします。 ![]() 毎日の足に使ったり、仲間とツーリングに行ったり、たまには競技にも参加したり。「バイクって楽しいな!」「一生乗り続けたいな!」って思い続けて早20数年。私にとってバイクは、毎日の生活を楽しくしてくれるモノ。なくてはならない相棒です。その相棒を盗むなんて、許しがたき行為ですよね。 実は、私も過去に、3台の相棒が続けざまに盗まれてしまった苦い経験があるのです。当時は、盗難についての認識、知識がありませんでした。 でも、今は、バイク盗難の現状や手口を知って、防犯にも工夫を凝らしながら、バイクライフをエンジョイしています。 あなたの大切なバイクが盗まれてから後悔する前に、年間10万台が盗難されている現状を知っておいて下さい。ただし、盗難を恐れるのではなく、ちょっとした工夫で、悪いヤツらから“愛するバイク”を守って欲しいのです。安心して、いつまでも楽しいバイクライフを送りましょう。 まずは、私の体験談を語りたいと思います。 私のバイクが2ヶ月の間に3台も立て続けに盗まれたのは、今から少し前。盗難バイク被害がピークだった2001年のコトです。 最初は「あれ? 何処にとめたっけ?」と狐につままれた感じ。だんだん冷静になって、盗まれた現実を把握していくのです。もうその後は、半分パニック状態で交番へ駆け込んだのを、今でも覚えています。 「まさか自分のバイクが盗まれるなんて…」。でもコレ、盗まれた被害者がみんな口にするコトなんですよね。 年間25万台ものバイク盗難被害があるって事も、後から初めて知りました。この事実は幅広く報道されているのか!? もし知っていたら、それなりの心構えだって出来たかも知れないのに…。 また、警察へ被害届けを出しても、盗まれたバイクの捜索はあまりなされていない現実も知りました。そればかりか、私の場合、警察官からは「自分のバイクの管理が、甘かったんでしょ!」と言われてしまいとてもショックでした。 甘かったんでしょ!って、ハンドルロックをして、U字ロックやワイヤーロックだってかけていたのに、これ以上どうすりゃいいの!? 落ち込んでいる私に、やり場のない怒りが湧いてきました。 怒りのタコメーターがとうとうレッドゾーンに入った私は、犯人が許せない一心から、仲間のTV番組のスタッフ達と捜索チームを作り、独自で捜索&調査を開始したのです。 取材を始めると、当初私が想像していた「少年らによる悪戯的な犯行」よりも、「海外へ輸出するための、組織によるプロの犯行」が、圧倒的に多い事がわかってきました。バイクのパーツが盗まれる数よりも、バイクを丸ごと盗まれてしまう方が、圧倒的に多いのです。 そして、捜索チームを結成してから半年後、タイ北部のチェンマイに住む友人から、「お前の盗まれたバイクが、こっちのバイク屋で売ってるぞ!」と連絡が入ったのです。「えええ!? タイ!?」私のバイクが、海外にあるなんていったいどうなってるんだ…!? タイへ駆けつけると、「あった! オレのバイクだ!!!」。いや、よくよく見るとパーツは私のだけど、バイク本体は私のじゃない。発見してくれた友人曰く、同じ年式の同じ色のバイクが2台並んで売っていたのだが、もう1台はここ数日見ないとのこと。 「もしかして売れちゃったんじゃナイ?」と友人。 「ええっ!? タイまで来たのにそんな〜〜〜」 その店は輸入バイクを扱う専門店のようで、タイでは製造されていないバイクがズラリ。ハーレーやBMWもあるが、殆どは日本製のバイク。オフロード、ネイキッド、アメリカン、スクーターなどどんなタイプのバイクもあるのだ! 私のバイクが発見されたタイ・チェンマイの店
バイクに近づいてよく見てみると、日本のバイクショップのステッカーや、マンションやアパートの管理ステッカーが、そのまま貼ってある!!! 店の片隅には日本のナンバープレート、U字ロックやワイヤーロックなどの防犯グッズも転がっていてビックリ! もしかして、コレ全部盗難車両? もしかして、店の人が盗んだ犯人か??? 恐る恐る聞いてみると、店のオーナーは、「盗難バイクだなんて知らないヨ!」とオカンムリ。日本から持参した写真を見せながら、日本で盗まれた私のバイクのパーツが、店で販売されているバイクに付いているコトを説明すると、「ウチは盗難と関係ない。バイクはバイヤーから買っているんだ!」と、困惑していました。(注意:バイヤーとバイク屋が、同じ窃盗組織ってコトもありますから、私のようにお店を訪ねるのはキケンをともなうコトがあります) その証拠でも見せるかのように、「バイヤーで買ってきたバイクを、裏の工場で組み上げるトコだから見るか?」と言われ、見学することに。 工場に足を踏み入れると、もう既に組み上がったバイクがズラリ。10数台はあるだろうか? 日本でのオークション番号が書かれたバイクも数台あるが、エンジンキーが付いていないバイクも多い。ヘルメットホルダーには、切られた状態のヘルメットのストラップがぶら下がっている…。やっぱり盗難車両だからじゃナイの??? 「こっちだよ!」と案内された更に奥には、“○○JA”とか、“○○米”と日本語で書かれた米袋や肥料、農薬の袋などの荷物がゴロゴロと転がっている。袋を指差して 「コレがバイヤーから買ってきたバイクだよ!」と言う。 「えっ!?? コレがバイク? どういうコトだ?」 米袋や肥料の袋を開けると、中からはタンクやハンドル周り、フェンダーなどが出て来た! 「なんだ、これは!??」 実はタイの場合、そのままの完成車両で輸入すると、輸入税がメチャクチャ高い。だから、日本でバイクをバラバラにして、部品として輸入するのだそうだ。 例えば、車両Aをフロントまわり、ハンドルまわり、タンク、シート、フェンダー、エンジンとフレーム、タイヤといったように部品ごとにバラバラにして梱包。タイのバイヤーはあくまでも“日本から来たバイクの部品”と申告して税関を通す。 タイのバイクショップは、バイヤーから、“車両Aセット”を“パーツ”として購入。Aセットを全部組み上げると、元の車両Aが完成するって仕組みだ。(実はこの方法、本来ならタイでも違法なんだとか…。でも殆どの輸入車は、この方法で販売されています。) でも店側は、日本での盗難車両だとは疑わないのだろうか? 「ニホンのバイク、タイで人気アル! でもワタシ、バイヤーから買ってるだけ。売れるバイクがあれば、買ってきて売る。それ商売ダヨ!」 そうだよね。商売だもんね。店が盗難している訳じゃないんだし…。みんな生きるために必死なんだよ! 怒りあらわにタイへ乗り込んできた私ですが、「この人達が悪い訳じゃナイ」と、考えさせられてしまいました。 その後、お店の協力でボクのバイクを買ったデンマーク人からバイクを返却してもらいました。日本から持ってきた盗難の証拠となる警察で発行してもらった書類や写真は、全て店に渡しました。お店のオーナーは、「バイヤーから返金してもらうからダイジョブ。“オマエはバイク持ってカエレ!」と、ボクは無事にバイク奪還に成功したのです。
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